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「路地と人」


神保町の六方のカウンターでお鮨をつまみながら糠床や南京豆のはなしで
ムヤミにもりあがっていたら「もうお昼の閉店時間とっくにすぎてますので・・・」
と店主にやんわりおいだされた

歩いてすぐのところにある「路地と人」へ向かう
プレオープン第一弾企画「逃げろ半分書店~国際ブック・アート・ピクニックを西に見て」
というみょうに長いタイトルにまず気迫を感じて 行かねばと思った

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あ! 大島弓子・・・!
よく見るとふきだしのなかのセリフを白い糸でちくちく刺繍して消してある
福田尚代さんの作品だなとすぐわかった じーっと見てしまう

みじかい詩の書かれたカードが70枚くらいはいった木箱にどきどきして
ほしいいなぁと思ったら これは私物で言水さんのコレクションの展示だった

上野さん企画の日本語の原文を翻訳機でシャッフルを繰りかえして 
解体された文を数人のひとにおくりつけて再構築する
言葉あそびの冊子もとてもその場では読み切れないけど面白そうだった

しゃがんで見る小さな貸本屋が隅っこにでてたり 
居合わせたメンバーのひとりの大村みよ子さんのファイルを見せていただいたり

これから面白いことがおきそうな気配がところどころにさりげなくあった
ほしいなぁと思っていた福田尚代さんの回文集も手にはいったし
ぎしぎし音をたてる階段もなんだかよかった
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by kachinas | 2010-01-27 20:55
キュートン

玉電に乗って三軒茶屋まで自転車を買いにでかけて ぶらぶらしていたら
近くの劇場で珍しいキノコ舞踊団の「私が踊るとき」をやっていた

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女子ふたりのダンサーが舞台にでてきて
どうでもいいような他愛のないはなしを延々としながら
体をからませたりかさねたり
アクロバティックにエロティックに踊るシーンは
会話とダンスがずれてゆく感じがすごく魅力的で好きだった

都々逸で登場のリーダーの女子は
ザ・ブングルの「カッチカチやぜ!」のコにちょっと似てた
それにしてもキノコ舞踊団に森三中がはいってもいいかもとか
ここにキュートンと椿鬼奴がまざったらもっと面白そう!とか
わけのわからないことぼそぼそ言いながら
5人も座ればぎちぎちのせまっこいベンチに
ぎっしりすわって豚骨ラーメンをはふはふたべた
そのお店は ヘいらっしゃい!とか まいど!とかいっさい
言葉を発しない寡黙なラーメン屋だった 
そう言えばチャーシュウもうすかった
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by kachinas | 2010-01-27 20:16
浮雲

晴海埠頭の高層ビルの37階に最近引っ越した
友人の部屋のベランダからとった景色

このあたりむかし住んでた頃は目のまえに東京湾がひろがる埋め立地で
だだっぴろい灰色の倉庫街に当時はめずらしい11階建ての
やっぱり灰色の公社住宅がぽつんとあって離れ小島のような風情だった

歩いている人もまばらでビュンビュンとばすトラックにもめげず
ふとった野ネズミが腹を擦るように道路をノロノロよこぎったりしていた

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運河にかかる黎明橋をわたると一変して倉庫街から
下町の風情ののこる木造長屋がならぶ月島や佃の町だった
銭湯に行って
もんじゃ焼きをたべて
かき氷をたべて 
仲町商店街にあったしなびたボーリング場にも
一度くらいは行ったような気がする
でもあのへんも随分かわってしまったんだろうなぁ・・・きっと

隅田川にかかる勝鬨橋をわたると築地市場
もう銀座も近い
そのころ晴海埠頭には外国船も停泊していたから
銀座あたりへくりだす外国の水兵さんが
紺色のセーラー服すがたでぽつぽつ歩いていた
橋の欄干に佇んでぼんやりカモメの群れをみている
魚河岸がえりの自転車のおじさんや
銀座の「卯波」という小料理屋を90歳まできりもりしていた
俳人の鈴木真砂女さんがしゃっきっとしたお着物姿で
すたすたと勝鬨橋をわたるお姿を時々お見かけしたり
のどかなところでもあった

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ひさしぶりに夜の勝鬨橋を渡った
いいなぁ・・・
やっぱり
川があるっていいね
川をわたってどこかへ行くっていいね


成瀬巳喜男の浮雲 放浪記 晩菊 舞姫 乱れ雲・・・とか映画七本借りて
フランケンサラーとかスーザンロゼンバーグの分厚い画集とか和紙とか顔料とかも
あげるというのでもらって帰ってきた
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by kachinas | 2010-01-21 14:53
エチオピア

竹橋の近代美術館の
近くに住んでる友人と待ちあわせて
ウイリアム・ケントリッジ展へ行ってきた
木炭のドローイングアニメを気合いで全部みたら
脳みそもからだもよれよれになってしまった
予備知識なしに見にいったのだけど
これでもかこれでもかのドローイングの量に
圧倒されてしまってぼんやりしてしまった
それにしても木炭の消したあとが残る
ドローイングはとても魅力的ではあった

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ウイリアム・ケントリッジの腕力にやられて
ヨロヨロヘロヘロしながらも
友人が乗ってきたボロ自転車にかわりばんこに乗って
竹橋からお掘りをまわって神田まで
淡路町画廊の上野茂都展へ「お地蔵さん」を見に行った
お堀の池には鴨もいたし空にくっきりと白い雲も浮かんでいて
いっしゅん別の時空に着地したみたいな
風景が古い映画の書割みたいで 
のんきなロードムービーみたいな道中だった

大正六年に建てられた蔵の淡路町画廊も
再開発により無くなってしまうらしい

展示は石や紙や布のお地蔵さんにまじって
塔のてっぺんに「ふとん」を敷いて
小さなひとが「ふとん」をかぶって眠っている
へんな絵があったりくすくす可笑しい
でもなんだか上等な絵だなぁと思った

淡路町画廊を出てあの「ふとん」絵のふしぎな可笑しさを思いだしながら
とりあえず神保町の「エチオピア」までずんずん歩いた 
二階の隅っこのほうの席で野菜の5倍カレーをふたりでハフハフハフハフ食べた
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by kachinas | 2010-01-19 20:14
ブリキ星

五年くらいまえ西荻窪のギャラリーブリキ星に行ったとき絵にまじって
三角の帽子をかぶった木の人形がむぞうさに壁にかけてあった
仏蘭西のこどもたちが遊んでいたおもちゃらしい
虫くいの穴がところどころぽつぽつある
眉毛がうっすら残っているだけのかすれた顔も
なぜかしずかでみちたりたおだやかな表情をしていた


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あの人形いいですね・・・・
畳のうえにしずかに座っている店主の加川さんに言ったら
そおおう・・・・
とゆったりした声でたちあがって
ではおまけにさしあげます・・・・
と言ってやわらかい紙につつんでくれた

今年の三月でブリキ星を閉店すると決めたそうだ
狐につままれたようなお知らせだった

ギャラリーブリキ星には店主が集めた古い物のもつ物語や
刻をへた古物への放心のような気配がいつも濃厚にあった
その空間にぽつんぽつんと展示された絵を見にゆくことは
まいかいとてもどきどきすることだった
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by kachinas | 2010-01-10 12:36
七草



七草粥第七官界彷徨



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芹 薺 御形 蘩蔞 仏の座 菘 蘿蔔
セリ ナズナ ゴギョウ ハコベラ ホトケノザ スズナ スズシロ 

緑いろの[草]をむしゃむしゃ食べていると
どこへでもスタスタと行けそうな気がしてくる
あるとおもいます
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by kachinas | 2010-01-09 11:06
スパシーバ

高尾山の稲荷山から枇杷滝へおりるコースを歩いた
うしろから来る人にどんどんおいこされる
ガリガリガリクソンみたいな肥満児にも追いこされてしまった
枇杷滝へおりる道にでると急にとひとけがなくなりうすぐらい
ちょっとこわくなったけどわざとゆっくりおりてきた


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帰りの電車のなかで新年の俳句をつくるつもりでいたけど
すっかり忘れてしまい
武田百合子の「犬が星見た」を
リュックからひっぱりだしてひらいた

「オバサン、カヨ子さん?外人好き?」と訊くドイツの四歳の男の子に
「オバサンは象と豚とライオンが好きだよ」と百合子さんが答えていている

なにげにひらいたそのページにレジ打ちの小さな領収書がはさんであった
よくみたら31年前に買った「犬が星見た」だった
ガード下のうなぎの寝床みたいに細長いかたちの本屋だったのをすこし思い出してきた
ぱらぱら「犬が星見た」を読みながらやっぱりくすくす笑った
ビールやウオトカやワインを飲んだくれる三人のロシアの旅は
いつどこを開いてもとろとろと熟成しつづけているウオトカのようだなと思った

百合子と泰淳の会話
「旅行者って、すぐわかるね。さびしそうにみえるね。」
「当たり前さ、生活がないんだから。」
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by kachinas | 2010-01-06 14:57