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彫刻棟


アイルランド・バラッド



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彼女は帽子を脱ぐが
どこに置けばいいかわからなくて
また頭にかぶる   

クレア・キーガン「青い野を歩く」p.29






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モデルを見ながら粘土で人体をつくり素焼きをする
彫塑のワークショップにはじめて参加した
八月の週末は朝早くお弁当をつくって
上野動物園の裏にある
古い美術大学の彫刻棟へ通った

粘土をくっつけたり削ったりしながら
なんだかときどきぼんやりした
高校生のころ校舎の窓から
この彫刻棟がちょうど見えて
ころがっている石や木の塊を
ときどき気になってのぞいたり
眺めたりしていたことを思いだす
今は鉄筋コンクリートだけどそのころは
木造の薄暗い彫刻棟だった



高橋洋子 Website
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by kachinas | 2010-09-17 22:52
スパイ


盲学校のうらの図書館



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落合多武の「スパイと失敗とその登場について」というタイトルの展覧会は
思い出すとやっぱり魅力的だった
あっちへいったりこっちへいったり
ひとつの点が無数の点に繋がっていくような
不思議な旅をしているような時間だった
「地球上で一番高いところにマンハッタンで行く」ビデオ
「地球の人工物」のドローイング
「コスタリカのジャングルの中で迷子になった経験から作ったドローイング」
「熱帯雨林のドローイング」
板に二つの穴のあけられた奇妙な猫彫刻
アトランタの夜の海のよせてはかえす波の映像の展示室にあったフトンのようなオブジェ
猟師が命をまもるためにつけている背あてにも見える
イコンのようなそのオブジェにはリスの尻尾が五つ生えていた





ミース・ファン・デル・ローエのファンズワース邸からはじまり
仁徳天皇陵の前方後円墳でおわる
145枚のぺらぺらで稚拙にも見えるドローイングが
展示室をぐるりと取り囲むよう貼られている「建築、彫刻または何か」
というタイトルのドローイングの部屋


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ポンピドーセンター、五稜郭、イームスハウスやサヴォイ邸
実際に存在する図書館とか盲学校とか官庁のビルそして空港
それらに混じってKGBの本部がでてきたり石舞台古墳がでてきたり刑務所がでてきたり
ブランクーシのお墓とか天皇陵とか建築物に混じって彫刻や墓石がところどころに

なんの脈絡もないそれらの並びが新鮮でワクワクしてしまう
無数の暗号や糸口が無造作に用意されている
ドローイングをくりかえし見ながら
「地球の人口物」ってなつかしくて美しいなぁと思った



高橋洋子 Website
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by kachinas | 2010-09-15 00:46